第10章 episode8
「...姉さんが来てんだ。一緒に仕事することにもなった。」
「それが...、原因なんですか?」
「そうさ。姉さんは俺がキライなんだよ」
避けてきた。
不快にさせないように。
だからこそ、姉さんはもっと俺に対して嫌悪感を抱いたのかもしれない。
「仲直り、なんて俺には程遠い言葉さ。なんてたってする気も起きないからねぇ。」
そう言うと、颯希ちゃんの顔が強ばった。
まるで自分のことを言われているみたいに。
「会えば会うほど、姉さんは俺と家族の縁を切りたがるんだ。愚弟呼ばわりだもの」
愚かな弟。
姉さんにとって俺は、汚れた存在だったのだろうか...