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虹彩異色症の女神さんは2人の炎に愛されました【エース・サボ】

第4章 #大切なもの


「立てるか?」

『う、だい・・・じょうぶ』

「おいおい、よろけてるじゃねェか!無理すんな」



エースはアリスをそっと抱き上げた。

アリスは海兵に蹴られた腹に痛みを感じて顔を歪めた。

さっきは怒りで何も感じなかった。

今になって痛い。



「あいつらになんかされたのか?」

『蹴られた・・・』

「どこだっ!!?」

『お腹』



エースは慌ててアリスの服を捲った。



『ッ・・・!』

「痣になってる・・・ってごめん!!!」



エースはすぐに服を元に戻した。

アリスは気にしてないと首を横に振った。

そして血で濡れた口を拭った。

怒りから知らないうちに唇を噛んでいたのだ。



『ありがとう・・・』

「礼なんかいいんだよ、」

『久しぶりだった・・・あんなに怖いって思ったの』

「・・・」

『あいつらに・・・』

「ヤられるのは嫌だったって思えただろ」

『・・・うん、でも・・・』



エースならいいって同時に思えた。

あんな中で、エースになら・・・。



『エースなら・・・』

「ッ、俺はっ、・・・そんなこと絶対にしねェ!!」

『そうじゃなくて・・・エースになら許せるの』



エースは足を止めた。

腕の中で小刻みに震えるアリスを見つめた。

冗談か?

嘘か?



「・・・」

『ごめん、気を使ってくれてたんだよね』

「お、俺だって男だからよぉ・・・そんなこと言われると本気で歯止めが利かなくなるんだぜ?」

『知ってるよ・・・』

「だったら・・・」



エースが・・・好きだから。

エースを愛せるから。

壊れた心を繋ぎ合わせてくれたエースになら。

何をされてもいい。

殺されたっていい。

本気でそう思える。



「俺はあいつらと一緒じゃねェよ、それに、そういうのは好きな奴ができたときに言ってやれ」

『・・・気づけよ、馬鹿・・・・・』

「ん?」



アリスは微笑んでエースの腕の中で意識を手放した。

いつまでも傍で笑っていて・・・。

いつまでも私を守っていて・・・。

私はあなたを愛する覚悟はできてるわ。
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