第3章 古狸の企み
「___というわけで、古狸もなんもわからないみたいだったぜ」
「そうか・・・」
犬神は少し落胆してため息をつく
「ほぼ、伝承の通りですな・・・」
「ふむ・・・しかしなぁ・・・」
どうも納得いかないと犬神が唸る
「どうしたんでい?」
「あの古狸がわざわざ訪ねてくる・・・というのがちょっとひっかかるな・・」
「確かに・・・利がなければ動かない奴です・・・
何か別の目的があるのやもしれません」
「父上・・・」
「おお、どうした?」
「実は書庫の奥まで調べてみたところ新たにこのような物が出てきました」
ボロボロの書物を烏天狗の息子が持ってきた
「内容は?」
「はっ・・・妖と交わる人愛され妖力を得て、その寿命永らえる・・・
長きに愛された娘、妖にその恩を返し強大な力を返す・・・」
「・・・要は愛し合って交われば問題ないって事だろう?」
「そんなに短絡的に考えてもらっては困りますっ」
「そうか?」
「確かに、これの通りだとすると犬神様は、を愛して抱けばは歳もとらず、ずっと一緒にいられるってことか?」
「ならば子孫も残せるのか?」
「・・・それが・・古い書物故、所々破れ読めたのはこの件と・・・」
「その件と?」
「あとは人間との交わり方をかいたところだけでして・・・」
烏天狗の息子は顔を赤らめながら報告する
「どれ?」
首無が興味津々でそれを読もうとする
「・・・もしかして、犬神様は妖怪の姿のままを貫いたのか?」
「・・ああ、それがどうした?」
「・・・だとするとここに書かれた通りであれば・・・の奴、そうとうなエロい女っ・・てイテっ」
犬神がバシンっと首無を叩いて書物を取り上げる
「・・・烏天狗、お前も読んだか?」
「・・はい、中身を確認する為に・・・」
「じゃー・・そうとうたまったろ?」
「・・っっ」
「首無、息子をからかうのも大概にしろ」
「だってこれ、ただのエロ本だぜ」
「人間と交わった記録だろうがっ・・・ったく」
「はぁ・・・ごくろうだった、お前は下がっていいぞ」
「はい、父上・・」
「あいつもきっとを想像して読んだんだろうなぁ」
「首無・・・」
「なんだよ?あ、あとで俺にも読ませろよ」