第1章 大人
祭りが終わって、すっかり寂しくなった町角の居酒屋で、子供舞踊無しでの打ち上げが行われることになった。
勿論咲羅は参加したいといった。
居酒屋というワードが“大人”を感じさせたんだろう。
良い具合に酒が回ってきた大人たちは、みんな男だった。
それに、私服姿だけ見ると大人にしか見えない咲羅は、完全に大人扱いだった。
俺はちょっと心配した。
女は勿論咲羅だけだったから。
酒が入った大人の男の会話なんて下ネタのオンパレードだ。
咲羅はついてきているのか?
ちらっと咲羅の方をみると、苦笑いで下を向いてた。
(なんだよ、同い年の男はガキだとか言っておきながらこの子、すごく純粋じゃん。)
打ち上げが終わると、もう時計は12時を指してた。
さすがに送って帰らなきゃまずいか。
「咲羅は俺が送って帰りますんで。」
そう言ってみんな解散した。