第1章 大人
俺の地元には5年に1度の大きなお祭りがある。そのお祭りで舞いを踊る舞踊連があり、そこのメンバーだった。
この舞踊は伝統で基本男しか舞えない。
だがこの祭りの時に臨時で結成する子供舞踊の子達もいた。
俺は32歳。この舞踊連の中で2番目に若かった。子供たちの扱いには慣れていて、教えるのは俺の役目だった。
ある日、一人の女性が舞踊連を訪ねてきた。
俺は思わず目を見開いた。
胸までのびたサラサラの黒髪、かき上げた長い前髪、キリッとした目元、ほんのり赤い唇。
(こんな美しい人初めて見た。)
俺は言葉を失っていた
「あの、聞いてますか…?」
「あっ、ごめんなさい…なんでしたっけ?」
きっと俺よりは年下だろう。
でも、敬語がぽんと出てくるような美しさだった。
「舞踊連に興味があって来ました。今年の祭りで踊りたいんです。」
「踊りたい…わかりました、ちょうど練習中なので入ってください。連長に会わせましょう。」
俺は中へと案内した。
連長は、許可を出したみたいで、今年の祭りで踊ることが決定した。