第2章 期間限定同棲体験
“幼馴染みの同居”
から
“恋人同士の同棲”
に変わったのだから、こっちの方が話としては納得できる。
ただ、“恋人”という関係を持ったことがない私はモテ男の龍星には完全に敗北だ。
今日は一日龍星のペースに引きずり回されそうな予感。
その予感は見事的中。
事あるごとにキスの嵐。
恋人ってこんなもんなの?
龍星に聞いたらまたバカにされそうなので聞かないが。
「今咲羅、恋人ってこんななの?って絶対思ってただろ。」
なんて鋭い奴!?
「は、思ってないし。」
「咲羅、強がってるときのその癖、直した方がいいよ。」
しまった………
私は強がるときに耳を触るらしい。全部お見通しって訳か!!
「まあ、彼氏いたことないもんな~。昔っから冷めてるし、バカだし、男に混ざってばっかだったし、女らしい事と言えば料理ができる位だし……」
「そっ、そんなに言わなくてもいいじゃん!!」
そんなに悪口が鎖のように出てくるなんて、涙が出そうだ。
「ごめんごめん」
そう言ってまたキス。
やはり慣れない。
龍星の言葉に影響されまくりな私なんて、
「悔しい。」
「何が?」
龍星は不思議そうに聞く。
「私ばっかり龍星に振り回されてて悔しい。私も龍星振り回したい。」
「咲羅待って、俺もう無理だ……」
その瞬間私には龍星と天井しか見えなくなった。
「俺も十分振り回されてるよ。」
龍星は私に覆い被さったままキスをする。
耳元で囁くように龍星は
「好き………」
あ、初めて龍星からその言葉聞いたよ。
その時電話がなった。
龍星は寂しそうに私の上から立ち上がり、電話を受ける。
どうやら両親が明日の夕方帰ってくるそうだ。
「やだな。帰ってこなければいいのにね」
そういたずらに呟くと、さっきの続き再開。
「最後の夜だね。今夜は寝かせないから覚悟しろよ。」
大城咲羅、18歳、初めての経験。
喘息持ちの体は、今にも破裂しそうだったが龍星は配慮しながらやってくれた。
私たちは“最後の夜”を充実させた。