第1章 耽けて溺れる
この痛みさえも愛おしい。ナマエちゃんが僕を求めすぎて耐えきれずに刻んだ痕に笑みさえ零れてしまう。
「悪い子だね、ナマエ。」
「あ…ごめ…ごめんなさい…みつただ…」
ナマエちゃんにしっかりと見えるように、爪跡が刻まれたばかりの手の甲を舐めて見せると、与えられなかった快楽への焦燥と罪悪感が綯交ぜになった涙が新たに零れる。
血がにじむ手の甲をナマエちゃんの口元に持っていくと、ナマエちゃんは躊躇いもなくぺろぺろと子猫のように傷を舐めてくれた。
「…ごめんね、意地悪しすぎたね。ちゃんとあげるよ。僕の全部、ナマエちゃんにあげる。」
「み…ひっ!?あ!ああああ!!」
チリチリとした痛みを手の甲に感じながら、あふれ出る涙の筋を辿って眦まで舐めたあと甘くなりかけた空気を壊すように、一息にナマエちゃんの蜜口を貫くと、突然与えられた快楽の衝撃にナマエちゃんは背を仰け反らせ、一瞬にして全身を硬直させた。
ナマエちゃんの中が痙攣しているところをみると達してしまったのだろう。
僕の精液を搾り取ろうと蠢く隘路が堪らなく気持ちいい。腹の底から湧き上がる快感に胴震いをして、まだ収縮を繰り返すナマエちゃんの膣道を構わず肉杭で擦ると悲鳴じみた嬌声が上がった。
「あっ!あ、あ、あ、や!待っ…あああ!!」
今、この瞬間だけは、ナマエちゃんの世界には僕しかいない。
僕の体しか感じられなくて、僕の声しか聞こえなくて、縋るものも頼るものも僕以外にない。