第2章 灰崎視点
彼女が出来た。
とはいっても、本気じゃねえけど。
入学してから、しばらくして、呼び出された。
なんかこう、澄ました顔している女に。
後から聞いた話だが、こいつは新入生代表だったらしい。
俺が自分でも言うのもなんだが、柄が悪い。
所謂不良だ。
だから上級生からの呼び出しも普通にあった。
お前生意気なんだよ、みたいな。
もちろん返り討ちにしてやったけどな。
だが、呼び出してきた女は、黒髪に膝よりちょっと短いくらいのスカート。
制服は全然着崩していない、真面目そうな女だ。
まあ、不良に憧れを持つ女もいるらしいし、コイツもそうなのかなって思った。
だけど好みじゃねえし、お断りだなって思ってた。
女の言葉を聞くまでは。
「私を灰崎君のサンドバッグにしてください!」
耳を疑った。
コイツはいまなんて言ったんだって、本気で思った。
間を空けて、ようやくでたのは「は?」なんていう一言だ。
それを聞いて女は、俺に告白してきた。
間違えた、なんて白々しいことを言って。
これはあれだ。
罰ゲームなんだろ。
学年でもそれなりに素行が悪いことで有名な俺に、サンドバッグにしてくださいって言って来るっていう。
俺が怪訝そうな顔したもんだから、取り繕うと告白してきたんだ。
俺にそんなことを仕掛けてくるなんて、ムカつく。
女がいったとおりにサンドバッグにしてやろうと思い、告白を了承した。