• テキストサイズ

【黒バス】ああっ君は女神様!

第8章 花宮視点



その夜、俺は女に声をかけた。
声をかけたのは、バスケ界で多少有名な女だ。

板井野好代。

あのキセキの世代のオモチャって噂の。
まあキセキっつっても、青峰と灰崎の2人らしいけど。
その男がらみで2度も入院したらしい。
馬鹿な女だ。

ここの所、走っているのを見かけていた。
どこかで見たことがあると思い、調べた結果あの板井野だという事がわかった。

必死に、走ってる。
何してんだ、あれは?


「やあ、こんばんは。精がでますね」
「……こんばんは」

電灯の下、声をかけた俺に、女は足を止め少し遅れて返事をする。

この女何度も男に襲われたって言うのに、少し無用心じゃないか?

俺の事、知らないわけでもないだろうに。

「そんな顔しないでよ、ちょっと話したいだけだから」

いい子ちゃんな顔して、近寄ると、板井野は眉を顰める。
気にせずに、板井野に近づく。
灯りに照らされた顔は写真で見た時の金髪に厚化粧ではなく、黒髪にすっぴん。

走っていたからか、額には汗が浮かんでいる。
それでも、こちらの方が似合っているなと、思った。
アレが趣味だって言うなら、キセキは存外悪趣味だ。
まあ、あんな試合するくらいだ。
趣味がいいわきゃねぇ。
しかし中々、言葉を返してこない。
俺に怖気づいたか?
まあ「悪童」なんて呼ばれてるしな。

「……どちら様ですか?」
「は?」

間抜けな声が出た。
出したのは俺だが。

「ふはっ、俺を知らない振りすんのか?君、板井野好代さんでしょ」
「はい。でも、本当に存じませんが。私の名前を知っているという事は、……まさか」
「そうだよ」
「お客様でしたか!すみません、人の顔覚えるの苦手で……」
「は?」

またも間抜けな声が出る。
出したのは俺だ。

「お前、俺を誰だと思ってんの?」
「え、マジバのお客様ですよね」
「ちげえよ」
「え?」

本当に分からないような顔をする。
まあ、さっきからそんなに表情は変わっていないが。
俺にはわかる。
今吉さんほどじゃないが、心を読むのは得意な方だ。
だからこの女が、困惑しているのが手に取るように分かる。

俺のこと知らないだと
クソ忌々しいことに無冠なんて呼ばれてたってのに。


/ 107ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp