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【黒バス】ああっ君は女神様!

第5章 考えをちょっと改めた入院生活



返事をする前に聞かなくてはならない事がある。
木吉は私を殴れるかっていう事。
これは、私にとって重要問題だ。

恋人がいるのに、よそでそこだけ満たすのはよくない。
それにもし木吉が女を殴るのに抵抗がある男だったら、申し訳ないし。

だから、聞かなくちゃ。

後からカミングアウトも、悪い。

誠実そうな木吉にはきちんとした返答をしなくては、と思う。
今まであんな感じの男には縁が無かったからな。


木吉とは昨日と同じように屋上で待ち合わせしていた。
すでに来てベンチに腰掛けていた木吉に声をかける。

「え、好代?」
「はい。昨日の恐怖がなんだったというくらい、元通りでした」
「綺麗だ!すっごく綺麗だ。よかったなぁ!!」
「ありがとうございます」

ふ、そんなに褒められると照れるぜ。
私は木吉の隣に腰掛けた。

「昨日の、返事ですが。その前に聞きたいことがあります」
「何だ?」
「鉄平君、私を殴れますか?」
「どういう意味だ?」
「私、殴られるのが好きなんです。お付き合いするのであれば、そうして貰いたいので」
「…………」

沈黙の後、木吉は拳を握る。
筋張って、素敵。
木吉は私と拳を交互に見る。
はやくやって!
じらさないで!!


それなのに木吉は顔を歪め、首を横に振った。

あ、無理なんだなって思った。

「すまん、無理だ」
「そうですか……。私、鉄平君の事は好きです。でも、ごめんなさい」
「……そうか」
「私も変なお願いをしてしまって、ごめんなさい。けれど私のような女は、鉄平君には相応しくないです」



木吉に悲しそうな顔をさせてしまって、心が痛む。
嫌いじゃない、むしろ好きだ。
それなのに、ピンとこない。


こんなまともな出会いがあると、私をこんなにしたあの人をちょっと恨みたくなる。


人のいい木吉はこれからも友達で居てくれるかと、言ってくれたので、残り少なくなった入院生活も快適に過ごすことができた。

これでさよなら、というのは嫌だなと思ったが虫が良すぎると思ったので言わなかったけど、向こうから話し掛けてくれ
たので私の罪悪感が薄れた。

本当にいい奴。
何故、駄目なんだ私。

自分に失望する。
これからは自重しようと決意した。


2度目の入院生活は、私を大人にしてくれた気がする。

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