第8章 京谷 賢太郎の妹(ハイキュー!!)
するとピタリと止まる兄妹喧嘩。
「岩泉さんが言うなら………」
「ちっ……」
菜々子と賢太郎は互いに言い足りないという表情だが岩泉の言うことならしょうがないといった感じのようだ。
「まさに鶴の一声だね。
よっ狂犬マスター岩ちゃん!」
「変な肩書きをつけんな。
そろそろ教室戻るぞ」
「それもそうだね!
じゃあね妹ちゃんと国見ちゃん」
「またな」
及川と岩泉はそう言って1年6組の廊下から去っていった。
「じゃあお兄ちゃん、約束は守ってね」
「当たり前だ。
お前も守れよ?」
バチッと二人の間に火花が散るぐらい睨みあうと賢太郎も自分の教室へと戻る。
「男子のコース走るって正気なの?」
「私を誰だと思ってるの国見くん。
私が本気を出せばお兄ちゃんに勝てるから」
不敵に笑う菜々子を国見は半分は呆れで、半分心配な表情で見ていた。
そしてマラソン大会が始まろうとしていた。
「こらこら京谷妹。
何男子の方に混じっている。
女子は男子の後にスタートだぞ」
一人の体育教師が男子たちに混ざってスタートラインに並んでいる菜々子を見つけて言った。
「事情がありまして男子のコース走ります。
問題はないので気にしないでください」
「いやいや、問題あるから。
足が遅い上、体力なさそうなお前が男子のコースを完走できるわけがないだろ?」
「…………。
本当は言いたくありませんでしたが………。
私、短距離は苦手ですが長距離はいけます。
あと体力は見かけで決めないでください」
キッと体育教師を睨む菜々子。
「お……おう。
わかったよ。
そこまで言うなら完走しろよ?」
菜々子の迫力に折れる体育教師。
そしてスタートの合図が鳴り響きマラソン大会という勝負の火蓋が切って落とされた。