第1章 きっかけ
貴「本気で好きになった人とは…なかなか結ばれないものなんだね…」
唐突にが話し出した。総悟はが座っているベンチに腰をかけ、まじまじとを見つめ話し出した。
総「なんでィ、元気ねぇと思ったらそんなことですかい」
貴「そんなことって…!」
総「どおりで、俺との張り合いにも力が入らねぇわけだ…?」
総悟は両手を頭の後ろにおき、空を眺める。は顔を赤くし、うつむきながら話し出した。
貴「私、なかなか素直になれなくて…相手に気持ち伝えるの下手っていうか、多分、相手も私が想ってることなんか気づいてないと思う…授業にも集中できなくて…」
総「なんでィ、俺に恋バナですかい?そんなガラじゃねーだろうが。」
総悟はいたずらな笑みを浮かべながらの鼻をつまむ。
貴「いだだだ!ちょ!総悟!人が真剣に話してんのに何すんのよ!!」
総「ぶは!ブッサイクなツラでィ!お前はその顔の方がお似合いですぜィ」
貴「む、むかつくーー!!」
総「こんなかわいげねーブッサイクな女、誰も相手にしねーだろィ!」
貴「はぁ?絶対いい女になって私の好きな人落として見せるんだから!ついでにあんたもギャフンと言わせてやる!絶対!」
怒り狂うを横目に、総悟が話を始める。
総「……お前の好きなやつって……銀八だろィ…?」
貴「う”……ええ!??」
総「違いやした?」
貴「う”ぅ”…………そうです……」
の声が小さくなる。うつむく彼女を見ながら、総悟は薄ら笑いを浮かべた。
総「お前ほんとわかりやすすぎでさァ。授業中もチラチラ銀八のこと見てるだろィ?嫌でも後ろの席の俺にゃもろバレするだろーが」
貴「う……!!」
総「で?告白する作戦はたててんのかい?」
一気にの顔が赤くなる。制服のスカートの上でぎゅっと両拳を握り、固まってしまった。総悟はの顔を覗き込み様子を伺う。
総「あーあ、こりゃ重症ですねィ?大分惚れちまってるみてーでさぁ」