第6章 放課後と彼女
『…ちがっ……』
それだけ言って咳込む彼女の背中をやさしく摩る
「無理して声出さなくてもいい。いつもみたいにやってくれたらいいよ。」
『それ、じゃ…ダメっ、なの…。』
彼女は声が出なくなった経緯をゆっくりと自身の口で語った
叔父からの暴力は悲鳴を上げるとエスカレートし、それに耐えられなくなり、声が出なくなればと願い続けたらしい
そして、あの件を境に出なくなってしまった
声が出せるようになった時に、再び叔父への恐怖に苛まれ、声を発せば、叔父がまた目の前に現れるのではないかという恐怖の中で生きていたらしい
時折震える彼女に、及川さんに似た感情を持っていた
俺が守るんだって
『だま…していて、ごめんな…さい。』
深々と頭を下げて謝る彼女
「仕方ないんじゃない?俺だって同じ立場に立ったらどうなってたかわからないし。澪は偉いよ、1人で戦ってきたんだからさ。」
どうしたらいいかわからず、とりあえず頭を撫でた
頭を上げた彼女は顔を真っ赤にしていて…
「それ、反則…」
そっちまで恥ずかしくなって小さく声が零れた