第6章 放課後と彼女
第三者side
その日の放課後、澪は美術室でいつものように絵を描いていた
それから時間が経過し、腕時計は午後6時を示していた
そろそろ帰ろうと支度を整えていると扉が開いた
入って来たのはジャージ姿の及川徹だった
及川
「やぁ、澪。2人っきりで会うのは3年ぶりぐらいかな?」
徐々に距離を詰めていく及川に、自然と後退する澪
及川
「怖がらないで…。俺はいつだって澪の味方なんだから…」
笑顔を絶やさない及川に、後ずさっていたが、壁際まで追い込まれてしまった
自然と震え、恐怖を感じて涙目になる澪に、及川の笑顔が消え、険しくなった
及川
「ねぇ…。もう、俺じゃダメ…?この前はあんなこと言ったけどさ、俺、ちゃんと分かってるから。俺のせいなのに、…あの時、ちゃんと守っていれば澪は俺の隣でまだ笑っていてくれたのかなぁ…。」
優しく抱きしめ、髪をすく及川
澪の震えも次第に止まった
それを見計らってなのか、及川は耳打ちをした
及川
「澪…。声、出るよね…?」
澪は及川を突き飛ばした
後ろに押され体勢を崩すも持ち直して話し続ける
及川
「おっと、危ないじゃないの。ホントだよ?あの時、一瞬だけ聞こえたんだよ。澪の、声…。」