第5章 先輩と彼女
彼女の秘密を聞いた次の日
なんら変わりのない日だと思っていた、けど…
及川
「おはよー‼︎」
教室の外から聞こえてくる、あの人と女生徒の声は次第に大きくなっていく
それが示すのは、こちらに向かってきているということだ
対して、彼女は平然と音楽を聴きながら窓の外をスケッチしている
…どうしたものだろうか
とりあえず、面倒は嫌いだ、だからこそ先手を打つ
彼女の肩をたたいてこちらを向かせる
《どうしたの?》
そう書いた彼女に俺は担任が呼んでいると口走った
すると彼女は頷いて、道具を全てが机の上に置いて立ち上がった
「ごめん…」
彼女に向かってつぶやいた言葉に彼女は不思議そうな顔をしたが、気にせず手をとり、走って教室を出た
あてもなく走って、とりあえず屋上に来た
「なんていうか…ごめん。何も言わずに連れ出して」
《謝らなくていいよ。なんだか、ここは落ち着くね。》
彼女は笑顔で、書いた文字を見せてくれた
しばらくのあいだは及川さんに合わせないように気をつけようと思った