第8章 チョコレートケーキ
*********************
季節は夏に。
そして中学校時代仲の良かった勉強会メンバーの6人で小さな同窓会を開くことになった。
学校帰りに、ケーキの食べ放題のお店で同窓会は始まり、大いに盛り上がった。
「楽しかったね!!」「またこのメンバーで集まれたら良いね!!」
みんな口々にそう言う。
「じゃあ自転車取りにいこう」
一人がそう言うとみんなは駐輪場へと向かった。
え、ちょっと待って、
「みんな自転車!?」
学校が遠く、電車通学をしているのは私だけだった。
「うわマジか…ダッシュじゃん」
「後ろ乗りなよ」
そう言ってくれたのは叶多だった。
「じゃあ…遠慮なく…」
そして自転車は走り出した。
「危ないから掴まって。」
みんなに聞こえないくらいに呟いたその声にドキドキした。
私はきゅっと叶多の洋服を掴んだ。
さっき食べたチョコレートケーキが、まだ口の中に残っているかのように甘い気持ちになり、夏の暑さが一層増した気がした。