第3章 黄瀬の「せ」は誠実の「せ」…?
翌日。
赤司っちの言うとおりに、詩音ちゃんの家まで来てみたものの…
「すげぇ……」
家を見て吃驚した。
別に物凄い大きいとか、リムジンが止まってるとか、そういうわけではない。
でもなんかこう…家から醸し出す雰囲気が、高貴な感じ。
中からはクラシックヴァイオリンのCDの音が聞こえるし、門から玄関までの階段、螺旋になってるし…
思い返せば詩音ちゃんとは結構デートしたけど、彼女のことはあんまり知らない。
彼女の家だって、彼女の学校で待ち伏せて彼女の友達捕まえて聞き出したくらいだし。
…そういえば、会っていてもいつも俺のことばかり話していたっけ。
俺のこと全部知ってもらいたくて。
詩音ちゃんあんまり積極的に話すタイプじゃないし、自分から自分のことを話したりはあまりしないってわかってたのに。
こんなに好きなのに、彼女のことちゃんと知ろうとしなかったなんて…
少し、情けなくなった。