第13章 中忍試験〜はじまり〜
「ちょっと待って!」
歩き出した彼らをサクラが制止する。
「額当てから見て、砂隠れの忍者よね?他国の忍が何の目的で来たの?」
風の国の隠れ里、砂隠れ。
火の国と風の国は同盟国の為国交はあるが、原則的に勝手な出入りなどは条約で禁じられている。
もしも只ならぬ理由があるとするならば、ここで見逃す訳にもいかない。
サクラの問いに、金髪の女が答えた。
「フン!灯台下暗しとはこのことだな。何も知らないのか?」
彼女曰く、彼らは近々開催される中忍選抜試験の受験者だという。
中忍選抜試験とは、木ノ葉、砂を中心に隣接する小国などから中忍を志願する者たちの階級志願試験である。
合同で行う目的は他国との友好を深め、他国と交えることにより忍者のパワーバランスを保つこと。
補足すれば、これによって他国の情報も獲得できる絶好の機会でもある。
サスケはリエと共に木から飛び降りた。
その目線はたった一人を映している。
「おい!そこのお前……名はなんていう?」
彼の視線の先には瓢箪を背負う、危うい男。
「……砂漠の我愛羅。……オレもお前に興味がある…名は?」
「うちはサスケだ」
二人の間に緊張感が高まる。
お互いを意識し合っているのを、隣でリエは強く感じていた。
「……行くぞ」
しばし視線を交わした後、我愛羅は二人の仲間と共に姿を消した。
「フン!面白くなってきたぜ」
サスケは不敵な笑みを貼り付け呟いた。
標的を見つけたサスケに、もう焦燥感は感じられない。
個々それぞれの思いを秘めて、中忍選抜試験は幕を開けようとしていた。