第14章 中忍試験〜開幕〜
「いきなりだが、お前達を中忍選抜試験に推薦しちゃったから」
毎度の如く遅刻してきたカカシは、四枚の志願書を手に突然そう言い放った。
「…と言っても強制じゃない。受けたい者だけそれにサインして、明日の午後四時までにアカデミーの301号室に来ること」
以上。と言い終えると、カカシはまたすぐに姿を眩ました。
相変わらず、勝手な指導者である。
青い果実 14
中忍試験の志願書を見て、四人は各自様々な思惑を巡らされていた。
ナルトは鼻歌交じりに上機嫌。
自分の将来を火影に重ねているのだろう、顔を見るだけでもそれがわかった。
サスケは無表情ながらも、先に待つ強者への闘争心で高揚している。
リエも、今の自分の力を試せるいい機会だと思った。
しかし、独り浮かぬ顔をしている者がいた。
サクラだ。
肩を落とす彼女を、このまま放っておくことなど出来ない。
「…サスケ、私甘い物食べたくなっちゃったから、サクラちゃんとお茶して帰るね」
最近はほぼずっとリエの傍を離れようとしないサスケだが
こう言えばサスケがあっさり引き下がることをリエは知っていた。
サスケは甘い物が苦手だから。
あまり匂いもかぎたくないらしい。
サスケの了承も得たところで、
帰路に着こうとするサクラにリエがにこやかに声をかける。
「サクラちゃん!一緒に甘いもの食べに行かない?」
「……え?あ、うん……」
どこか上の空なサクラの手を引いて、リエは行き着けの甘味処へと足を伸ばした。