第13章 中忍試験〜はじまり〜
「「!!」」
抱きしめあった腕を解き、二人は遠くで聞こえた大声に眉をひそめた。
「サスケ、今の声…ナルトくんじゃない?」
「チッ!全くマジで世話の焼けるやつだ」
良いムードをぶち壊されたせいかサスケの声には怒気が含まれていたが、ただ事ではないと二人は慌てて元来た道を戻る。
街路を走っていた二人だったが覚えのない気配を感じ、道を外して接近した。
騒ぎに程近い木の上から様子を伺う。
見れば黒衣を纏った男が、少年を吊り上げていた。
「あれは……木ノ葉丸くん!?」
苦しそうに顔を歪める少年は、現火影の孫である木ノ葉丸。
三代目火影のところへ遊びに行ったときに紹介されて以来、リエは木ノ葉丸に気に入られ懐かれていた。
よく見ればサクラとナルトの後ろには、彼を慕う木ノ葉丸の仲間のモエギとウドンがいる。
「いじめられている…のかな?」
「それより奴ら……見てみろよ」
サスケは親指を立てて男の額当てを指す。
木ノ葉の炎のモチーフではないそれは、砂時計のモチーフ。
「アレって……砂隠れの…だよね。なんで他国の忍が木ノ葉にいるんだろう?」
「……さぁな」
二人が様子を見ている間、ついに黒衣の男の拳が木ノ葉丸に放たれた。
それを見たナルトが木ノ葉丸を助けるため必死に躍り出るが、間にあわない。
やられるーーー
誰もがそう思ったのだが
瞬時に、サスケが手にした小石を男の腕に打ち込んだ。
「くっ!」
見事に当たった衝撃で、思わず男は木ノ葉丸を手放した。
その顔は苦痛に歪んでいる。
道理によって拘束を解かれた木ノ葉丸は、慌ててナルトの元へと走った。
「よそんちの里で何やってんだ…てめーは」
絶妙のタイミングで現れたサスケに、サクラとモエギは黄色い声を上げた。
サスケは木の上から男を見下ろす。
黒衣の男は小石に打たれた手をさすりながらギロリと睨み仰いだ。
「むかつくガキが、もう一人……」