第10章 波の国〜修行〜
一方のリエは、自分が最初に感じた疑問を、カカシにぶつけていた。
「先生、私どうして木登り上手くいったんでしょうか?」
「ん?チャクラコントロールがちゃんと出来ているからでしょ」
「でも私…前から忍術苦手で。アカデミーの卒業試験も分身の術だったんですけど、サスケが根気よく修行に付き合ってくれなかったら卒業出来てなかったくらい、忍術の成績がものすごく悪かったんです。チャクラのコントロールが出来ていたら、もっと上手くいっていたんじゃないかなって思って」
それを聞いてカカシは顎に手をかけ、少し考える……
そぶりをした。
確かにアカデミー時代のリエの成績を見ると、忍術の成績だけ際立って落ちこぼれていた。
しかしそのちゃんとした”理由”を、カカシは三代目から聞いている。
もともとリエはチャクラ量も多く、サスケに劣らないほどの素質もあるのだ。
ただ、チャクラを上手く使えないだけ……
いや、使えなかっただけだ。
だがそれは今彼女に言うことではない。
言えない理由も、ちゃんとあるのだから。
「そうねぇ……リエは木に登るまでに時間かかってたけど、どうしてだ?」
「え?えっと、チャクラを足に集めてそのまま足で木に登るイメージをして、集中していたので……」
ガイに体術の指南を受けたときに
「イメトレも大切だぞ☆」
と言われてからは、リエはその教えのとおりにしてきた。
「じゃぁ忍術使うときは?」
「えっと……あ」
そう問われよく考えてみたら、いつも緊張していたり焦っていたり、なにかしら力が入っていて、落ち着いてチャクラを練れていなかったような気もした。
リエは何も言わなかったが、彼女の考えていることはわかりやすい。
カカシはニコリと笑ってリエの頭を撫でた。
「大丈夫、リエならコツさえ掴めばすぐに忍術だって使えるようになるさ。焦らず、リエのペースで頑張りなさい」
カカシの優しい言葉に、リエは嬉しそうに微笑んだ。