第10章 波の国〜修行〜
忍術。
それは、リエが一番苦手とする分野だ。
幼い頃だけならまだしも、アカデミーに入ってからも懸命に修行したにも関わらず、未だに初級忍術もまともに出来ない始末。
悲しくなるほどの才能のなさに、いつしか忍術に関してはほぼ諦めるようになっていた。
しかしこの修行がうまくいけば、色んな術が習得出来るようになるかもしれない。
もっと強くなれる可能性が、ここにある。
そう思うと俄然やる気が沸いてきた。
皆が勢いよく登っていくのに対し、リエは目を閉じ集中し、まずイメージをしてみた。
足の裏に微量のチャクラを集め、留める。
そしてそのまま維持した状態で、木のてっぺんまで登る。
しっかりとしたイメージが出来上がってから、カカシが投げたクナイを持ちチャクラを練り足に溜める。
勢いよく木を駆け上がると、思っていたよりも快調だ。
「……あれ?」
予想もしていなかった。
気付けば目標地点まで到達している。
リエはサスケでさえ出来なかったことを一回で成功してしまったのだ。
サスケも驚いた顔をしているが、一番驚いているのはリエ本人だった。
隣の木のてっぺんの枝にはすでにサクラが到着していて、リエにピースをしながら笑いかけてくれている。
「いやぁ~今チャクラのコントロールが一番いいのは女の子達みたいだな」
そうカカシがナルトとサスケを挑発すると、二人ともムキになって何度も何度も挑戦し続けていた。