第9章 波の国〜鬼人〜
再不斬の爪はカカシを捕らえ、水牢に閉じ込めた。
上忍がいなくては力の差は歴然である。
一気に第七班は危機に瀕した。
「お前ら、タヅナさんを連れて逃げろ!!」
カカシが水牢の中から叫んでいる。
しかし、このピンチでも立ち向かう少年がいた。
「まっすぐ自分の言葉はまげねー!それがオレの忍道だ!!!」
ナルトのその言葉で、リエもまた意を決した。
先程自分で言った事を忘れたわけではない。
今が、自分に出来ることをする場面なのだ。
ナルトの奇策とサスケの機転で、再不斬の意表をついた。
「サクラちゃん、タズナさんをお願い!」
静かに戦況を見つめていたリエはサクラにそう言うと、サクラが止める間もなく再不斬がいる川へと走り出した。
手裏剣変化を解いたナルトが再不斬にクナイを投げつける。
再不斬がそれを鼻先のところで持っていた大手裏剣で振り払った。
ナルトの作戦が失敗に終わったかというとき。
「なにっ?!」
ナルトに注意を払っていた再不斬の背にリエが襲い掛かっていた。
慌てて振り向いた再不斬のこめかみに彼女の飛び膝蹴りが命中し、再不斬がよろめく。
まだ大人を吹き飛ばせるほどの威力はないが、急所への攻撃はそうとう効いたようだ。
全力で突っ込んだリエの体も、勢い余って川へと落ちる。
「「リエ(ちゃん)!!」」
沈みかけた彼女の体を、慌ててナルトが引き上げた。
その二人へ、怒りを露わにした再不斬が大手裏剣を振り下ろした。
が、それを片手で受け止めるものがあった。
「カカシ先生!!」
リエの攻撃で再不斬がよろめいたとき、カカシを捕らえていた水牢の術は完全に破れたのだ。