第9章 波の国〜鬼人〜
「そいつを殺してやるよ」
男はソファに身体を預け、傲慢な態度で言い放った。
「霧隠れの鬼人と呼ばれた……この桃地再不斬がな!」
半分以上包帯で覆われた顔からも、表情はわかる。
なんて残忍な笑みなのだろう。
周りの者は、背にぞくりと冷たく走り抜けるものを感じた。
これは狂気か、それとも狂喜か……。
青い果実 09
その言葉通り、その後再不斬はタズナ達を襲撃した。
獣のような鋭い瞳。
狡猾な思考。
獲物を見定め狙う身の丈ほどもある巨大な刃。
突然の強敵の襲来に、包み隠されていたカカシの左目が開眼された。
そこに現れたのは……写輪眼。
それを見て、サスケとリエは同じ思いで動揺した。
写輪眼は、うちは一族のみに受け継がれた血継限界のはずだ。
うちはの者ではないカカシがなぜその眼をもっているのか?
最後に見たイタチの赤い眼を思い出し、リエの胸が締め付けられるように痛んだ。
しかし事に窮したこの状況で、そんなことも言っていられない。
今は、命の危機が迫っているのだ。