第8章 波の国〜出発〜
「さっきはごめんね、皆」
道中、リエが申し訳なさげにそう言った。
結局リエは先程自分が"何か"を見たということは言わず、皆が思っているようにカカシへの攻撃に驚いたということにしておいた。
自分でもよくわからないことを話して、皆に心配をかけたくなかったのだ。
「そんな、あんなの見たら誰だってビックリするわよ」
そう言いながらも、サクラの心中は複雑だった。
サスケがリエにだけは心を開いているということは何となくわかっていた。
それでもあのサスケが、落ち着かせるためとはいえ女の子を抱きしめるなんて。
正直、ショックだった。
今のサクラは、くやしさと羨ましさと寂しさが入り混じった、そんな心境にいた。
「……次は自分に出来ること、ちゃんとする。それでも迷惑かけちゃうかもしれないけど……頑張るから」
それでも、あんなに怯えていたのに、そんなに意思の強い瞳で言えるリエを、すごいと思う。
自分はもう無理だ、帰りたいと思ったのに。
((私も……次は……もう逃げない))
サクラは心の中でそう誓う。
そしてナルトも、カカシが手当てしてくれた左手を見て、誓った。
((もうサスケに助けられるなんてゴメンだってばよ!次こそは絶対…!))