第8章 波の国〜出発〜
サスケは急な敵襲に臆することなく応戦した。
ナルトはそれに対し、強い劣等感を抱いていた。
リエは落ち着きを取り戻し、ナルトの視線に気づいたサスケは鼻先で嘲るように言った。
「よぉ…ケガはねーかよ、ビビリ君?」
「!!!」
皮肉めいたサスケの台詞は、ナルトの神経を逆撫でした。
しかしカカシに先ほど受けた傷から毒が入っているから動くなと言われ、ナルトはサスケに殴りかかりたい衝動を必死で抑える。
カカシは捕らえた刺客について、タズナへ弁明を求めた。
彼らの狙いは明らかにタズナであった。
それを調べるために、カカシはわざとやられたふりをしたのだ。
そしてその実、依頼内容を謀っていたのである。
Cランクで忍者の抗戦はありえない。
「こりゃ荷が重いな。ナルトの治療ついでに、里に戻るか」
カカシはサスケ以外の三人を見て、そう判断した。
リエの状態は普通ではなかった。
任務内での死はつきもの。
今からこんな状態だとこの先不安だ。
他の二人についても、サスケくらいの実力があればどうにか出来たかもしれないが……。
守る人間が増えるだけでは、任務は困難を極める。
しかしここで予想もしなかったことが起こった。
ナルトがクナイで自分の左手を刺し、毒血は抜いた、任務続行だと言い切ったのだ。
Bランクの忍を雇えない波の国の厳しい財政。
如何に橋の完成が大切か。
対する敵の思考や正体。
そして護衛を辞したとき予想される出来事。
タズナは、今度は包み隠さず話した。
ナルトもああ言い切るし、このまま放り出す訳にもいかず。
結局カカシは任務を続行することにしたのである。