第7章 休日
焼き肉をご馳走になったアスマに礼を言って彼らと別れた後も、リエはあてもなくまた里をぶらついたのだが、何の目的もなくただ歩いているだけではどこか味気なくて、なんだか時間が勿体無い気がした。
先程いのから買ったマーガレットを見て、ふとサスケの顔が頭に浮かぶ。
今頃も修行に励んでいるであろうサスケを思うと、胸が温かくなった。
「……かえろ」
踵を返し、慣れ親しんだ家へと戻る。
早く、彼に会いたい。
「サスケー!」
自分を呼ぶ声にサスケが振り向くと、リエが自分に向かって大きく手を振っていた。
「ね、サスケ。今日はこのくらいで修行切り上げない?一緒に帰ろうよ!」
リエがそんなことを言うのも珍しい。
なにかあったのかと心配になったが、彼女は満面の笑顔だ。
いつもの帰り道よりも明るい道を、二人仲良く並んで歩く。
リエがのんびり歩くので、サスケも彼女のペースに合わせて歩いた。
道中、リエが今日の出来事を話してくれた。
今日は修行を休んで里を散歩していたこと。
久しぶりに七班以外の友達に会えたこと。
シカマル達の先生に焼肉をおごってもらったこと。
楽しそうに話すリエを見て、自然とサスケの口角もあがっていた。
「……その花、買ったのか」
リエの手に握られたマーガレットを見てサスケが問う。
「うん。いのちゃんのとこのお花屋さんでね。お部屋にあったら可愛いかなって思って」
続けて、リエは微笑んでこう言った。
「この花見ていたらね、なんかすごいサスケに会いたくなっちゃったの。修行切り上げさせちゃってごめんね」
リエにとっては何気ない言葉だったのかもしれない。
それでも、サスケが頬を染めるには十分だった。