第7章 休日
いい匂いに誘われ焼肉屋の前を通りがかると、中から知っている声が聞こえてきた。
「チョウジ、もっと味わって食えって……金払うのは俺なんだから」
「味わってるよ!」
「あー…めんどくせー……」
渋い声の主に聞き覚えはないが、あとの声と口癖は……
「シカマルくん、チョウジくん!お久しぶり!」
いののチームメイトである奈良シカマルと秋道チョウジだ。
焼肉屋に男三人、邪魔するのも気がひけたが、久しぶりに会えた友達と話がしたくて声をかける。
合格者説明会以来、七班メンバー以外の友達とは会っていなかったのだ。
「なんだシカマル?もしかしてお前の彼女か?」
「何言ってんだ、ちっげーよ。空風リエ、オレ達と同期」
タバコをくわえた髭面の男性に茶々を入れられたシカマルが自分を紹介しだしたので、リエは慌てて頭を下げた。
「は、はじめまして、空風リエです。シカマルくん達の先生…ですか?」
「おう、第十班担当上忍の猿飛アスマだ。よろしくな。よかったら一緒に食っていかないか?ここは俺のおごりだから、遠慮すんな」
リエは少し戸惑ったが、折角のお誘いなのでお言葉に甘えることにした。
無駄な出費を極力避けているリエには焼肉屋は初めての経験だ。
空いていたチョウジの隣に座ったリエをアスマは食い入るように見つめ、ニッと笑った。
「もしかしてお前さん、カカシの班か?」
「あ、はい。第七班です」
「やっぱりな。カカシが可愛い子が部下になったって喜んでたんだが、カカシがそんなこと言うのも珍しいし、会ってみたいと思ってたんだ」
「え?あのそれ、私じゃなくてサクラちゃんのことじゃ…あ、もう一人女の子がいるんですけど」
「いや、お前さんだろうと思うがな。守ってあげたい系女子?とか言ってたし。カカシの柄でもないのに」
豪快に笑うアスマと照れて赤くなるリエを見て、シカマルが大きくため息をつく。
「おいエロアスマ。嫌らしい目でジロジロ見てんじゃねーよ」
「お?シカマル嫉妬か?かわいいねぇ」
そんなやり取りの中、チョウジだけは必死に肉を食べ続けていた。