第7章 休日
ヒナタには会えなかったが、他の友達に会えないだろうかと、リエは一人で里をぶらつくことにした。
商店街はいつも賑やかだ。
たくさんの人が行き来して、お店の人が大声で呼び込みをして。
最近は食材の買い物くらいにしか来ないところだが、じっくり見てみるとなんだかおもしろい。
そして目についた綺麗な花々に誘われるように、花屋の前で足を止める。
色鮮やかなそれを見ていると「あら、リエじゃなーい!」という高い声が奥から聞こえた。
アカデミーからの友達でサクラのライバルでもある、山中いのだ。
「久しぶり、いのちゃん!ここ、いのちゃんのお家のお花屋さんだったんだね」
「そうよー。今日は任務ないから家の手伝いさせられてんの。それよりあんたいいわねぇ、サスケくんと同じ班でしょー?リエならいいけど、あのサクラがサスケくんと一緒なんて……きーっ!ムカツクー!私なんかあの面倒くさがりとデブチンが一緒だってのに。もう嫌になっちゃう」
そうは言うものの、その言い方から嫌悪感は感じなかった。
言葉とは裏腹に、言うほど嫌がってはいないようだ。
「それはそうと、何か買ってく?」
「うん!見てたら欲しくなっちゃったんだけど……色々あってどれがいいか迷っちゃうね。いのちゃんのオススメとかある?」
「そうね~…じゃぁこれは?」
いのはたくさんの花の中からそれを一本取り、悪戯っぽく笑った。
「マーガレット。花言葉は…”真実の愛”」
「真実の愛?」
「プレゼントしたら両想いになれるかもしれないわよ」
「両想い……って、いのちゃん?!」
真っ赤になるリエが可愛くて、いのはくっくっと小さく笑う。
「やーだリエ!好きな子にプレゼントじゃないの~?」
「ち、違うよ!お家に飾ろうと思って…。でもお花可愛いから、それ一本ください」
「はいはい。ありがとね~」
いのから花を受け取り、しばらく雑談をしてから店をあとにする。
「お腹、空いたな……」
時計の針は、十二時過ぎを知らせていた。
彼女とも久しぶりに会ったとはいえ、ずいぶんと話し込んでいたものだ。
修行中のサスケは、ちゃんとご飯を食べているだろうか。