第7章 休日
二人と別れた後、リエは里内をぶらつくことにした。
今日は任務もないし、修行相手もいない。
サスケはいつもどおり一人で修行中だ。
サスケと修行をすることも考えたが、サスケはリエ相手だとどうにも本気が出せないらしく気を使わせてしまうだけだということがわかって以来、二人は別々に修行しているのだ。
一人で修行をするのもいいが、今日は天気もいいしヒナタを誘って団子屋でお喋りでもしようかとふと思いついた。
彼女とも下忍になってからお互いの都合が合わずなかなか会えずにいたのだ。
久しぶりに会う親友と話したいことがたくさんある。
日向家へ向かう道中、自然に早足になっていた。
いつ見てもこの家はすごいと、リエは日向家を見上げながら思った。
うちは一族と同様、火の国を代表する名門という貫禄を、この家は醸し出している。
そこへ偶然にも、門前でヒナタの親族である日向ネジと鉢合わせた。
リエがヒナタの家に初めて遊びに来たときに知り合った彼も、会う機会はあまりないものの長い付き合いのある友人の一人である。
ネジはガイ班の一員であるから、彼も今から任務に向かうのだろう。
「おはようございますネジさん。お久しぶりです」
「ああ。……ヒナタ様なら今日は任務に出かけたが」
ヒナタのことを話すとき彼の目がいつも陰ることにリエは気付いていた。
日向家の分家と宗家の因縁の話は、ヒナタから聞いた。
その関係のせいでネジがヒナタを……というより宗家の人間を嫌っているのだということも。
家系のせいであの優しいヒナタを恨むなんて、なんて悲しいことだろう。
あまり感情を見せないネジだが、本来の彼はとても優しい人なのだろうにと、リエはそう思っている。
「……そうですか。じゃぁまた今度にします。あ、ごめんなさい引き止めちゃって。ネジさんも任務、頑張ってください。お気をつけて」
そう笑顔で返し、来た道を戻っていくリエの後姿が見えなくなるまで、ネジは彼女をじっと見つめていた。