第5章 第七班
結局リエがサスケに会えたのは、昼休みが終わる二十分前だった。
外から戻って来た彼は、かなり不機嫌、というか苛立っていた。
弁当を渡しそびれた自分のせいかとリエは思ったが、リエの姿を見て彼の雰囲気がかなり和らいだので、きっと昼休みに入ってから何か嫌なことでもあったのだろう。
何かあれば、自分から言ってくるはずだ。
だからリエは、何も聞かない。
「サスケごめんね。お腹すいたでしょ」
「いや、先に出たのはオレの方だ。探させて悪かったな」
空き教室に入り、リエが作った二つ分の弁当を広げる。
彩りよく並べられた弁当は見ているだけで食欲をそそられた。
サスケの好物ばかりにしたので、どことなく彼も嬉しそうだ。
「それにしても、班まで一緒なんてすごいよね!任務も一緒なの、嬉しいな」
水筒からコップにお茶を注ぎサスケに渡しながらリエが言うと、サスケはふっと笑った。
「何の反応もしてなかったから、そう思ってないのかと思っていた」
「えーと……実はイルカ先生の話全然聞いてなかったの。お父さんのこと思い出して……。
あ!そういえば朝、ナルトくんとその…大変だったんだってね、いろいろ」
しんみりしたかと思い話題を変えると、おかかおにぎりを食べていたサスケが急に咽た。
「………見てたのか?」
「ううん。話に聞いただけだけど……」
サスケの周りにどす黒いオーラが渦巻いているのが目に見えるようだった。
ナルトに対して怒っているのか、話題をふったリエを怒っているのか、リエにその話をした誰かを怒っているのかはサスケにしかわからない。