第32章 未来の為に
「隣にはいられないけど…サスケは約束してくれたから。だから、今はそれだけでいいんです」
「約束…って?」
カカシの問いに、リエは重たいものを払うように顔を上げた。
「絶対に死なないっていう、約束」
リエの左耳についたピアスがキラリと光る。
それは、サスケとの絆の証。
「サスケが生きてさえいてくれれば….きっとまたいつか会える日が来るから。そのときお互いがどうなってるかはわからないけれど……でも、サスケは、サスケとの約束は、私の生きる希望なんです。今も、これからも、この先何があっても…私はサスケのこと、大好きですから」
そう言って、リエは儚く微笑んだ。
いつもの笑顔とは到底言えないが、表情が久しぶりに出た瞬間だった。
「本当に、そう思っているんです。でも…頭で考えることと心は別物みたいで…。
…あのときああしていればとか、ああしなければとか…あれからずっとそんなことばかりが頭に浮かんで……過去を悔やんだところでどうしようもないのに、毎日が後悔ばかりで…いつまで経っても、どうしても気持ちが切り替えらないんです…」
そう言うと、リエはまた俯いてしまった。
「ごめんなさい。こんなこと言っても、先生が困るだけだってわかってるんです。誰かに頼ってどうにかなることじゃなくて…私の、心の問題なんです…」