第32章 未来の為に
「……いえ。私にはサスケの復讐は手伝えませんし、サスケもそんなことは望んでないと思うし……それに、そうすればこの里を裏切ることになるから。私にはそれは、出来ないです」
リエの答えを聞いて、カカシは心の中で安堵の息をついた。
「そうか…なら、サスケを連れ戻したい方ね」
そう躍起になっている、ナルトやサクラのように。
厳しいことを言えば、忍である以上、どんなに大切なものでも切り捨てなければならないときはある。
上忍師としては、本来ならばサスケのことは諦めろと言うべきところなのだろうが。
ナルトにとってサスケは、友であり、ライバルであり、兄弟のような存在で。
サクラにとってのサスケは、誰よりも好きだった人で。
リエに至っては言うまでもなく。
皆が皆、サスケを、仲間のことを、思っている。
『ルールや掟を破る奴はクズ呼ばわりされるが、仲間を大切にしない奴は、それ以上のクズだ』
昔、友に言われた言葉。
そしてそれは、自分の口から下忍になりたての彼等に伝えた。
友の意思が、部下に受け継がれていることを嬉しくも思う。
これだけサスケのことを想い、彼の為に笑顔も人間味すらもなくしてしまったリエのことだから、当然ナルト達と同じ気持ちだとカカシは思っていた。
しかし、カカシの予想に反してリエは小さく首を横に振った。