第32章 未来の為に
影を落とすリエに、カカシは核心をついてみる。
「サスケと一緒に行こうとは思わなかったの?」
こうなるであろうことは、彼女自身どこかでわかっていたのではないだろうか、とカカシは思った。
中忍試験三次予選が終わってから会ったときも、
イタチにやられて入院していた自分を見舞いに来てくれたときも、
サスケとナルトが、病院の屋上でやり合っていたときも、
リエはずっと思い詰めた顔をしていた。
大蛇丸と出会い、うちはイタチと再会したことで、サスケが離れて行くのではないか…
そんな不安を、リエはずっと抱えていたに違いない。
イタチに完膚なきまでにやられ、さらに憎しみを強くしたサスケが、大蛇丸の力を頼りに里を出て行くこともあり得る、と思っていたのではないか。
それを阻止する為彼女なりに色々頑張ったのだろうが、仮にサスケを止められなかった場合のことを考えても不思議ではない。
サスケと頑なに離れたくないと思っていたのなら、サスケに拒まれてでも一緒に行くという選択肢もあったはずだ。
イコールそれは里への裏切りにもなるのだが、その気持ちの有無をカカシは確認しておかなければならなかった。