第32章 未来の為に
「……他言するなって言われてましたし、風牙は人前で姿を見せることもないので…誰にも知られてないと思ってました。先生は何でも知ってますね」
「火影岩でリエの隣にいたでしょ。さすがに驚いたけどね」
姿を見ただけでなく直接話もしたのだが、カカシはあえて黙っておいた。
それイコール、サスケとの別れの日と繋がっている為、その説明をわざわざすることもないと思ったのだ。
話の内容はともかく、せっかく口数が増えて来たのだ。
あの日をハッキリと思い出させて、口を閉じさせるようなことはしたくない。
「火影岩に行っている理由、ですか…。場所にこだわりとか、全然なくて…どこでもよかったんですけど。ただ家に…一人でいるのが、嫌で…」
「そうか…でも、夜中に出掛けなくてもいいんじゃないか。里の中とはいえ、危険がないとは限らないわけだしな」
自分の他に誰もいない家にいるのが辛いという理由はわからなくはない。
昔は、自分も似たような経験はした。
それでも夜以外、リエは家にほぼ引きこもっている状態だ。
家にいたくないのならば、なぜその時間だけ外に出るのかカカシは不思議だった。