第5章 第七班
「……ちゃん。リエちゃん?」
小さな声でヒナタに名を呼ばれハッと引き戻される。
父との思い出に浸っていて、リエは何も聞いていなかったのだ。
それこそ、隣のヒナタの声さえも聞こえぬほどに。
「ごめん、考え事してて……どうしたの?」
「班決め、聞いてなかった?リエちゃんは七班で、人数の関係でリエちゃんたちのところだけ四人一組なんだって。うちはくんと……ナルトくんとも同じ班だよ」
そう教えてくれたヒナタの声は、心なしか残念そうであった。
「サスケと?それは心強いけど、ナルトくんも一緒だと喧嘩がすごそうだね。サスケは人を怒らせるような言い方しちゃうところあるし。ヒナタは何班になったの?」
「私は…八班、なの。ナルトくん、うちはくんのことライバル視しているみたいだから……さっきも、うちはくんと一緒の班になるの嫌がってたし……でも、きっといい関係になると思うの。ナルトくん、だし」
ヒナタはナルトのおかげで変われたらしい。
その為か、ナルトにかかればどんな関係でも良好に出来るものと思っているようだ。
ヒナタもナルトと同じ班になりたかったのだろうなとリエは思う。
それでも羨ましいと言わないあたりが他の女子と違うところだろう。
(サスケのファンは過激すぎるのでヒナタと比べるのは間違っているかもしれないが)
ヒナタはそんなことを言っても仕方のないことだとわかっているし、言ったところでリエを困らせるだけだとわかっているのだ。
それをリエも充分にわかっている。
どうしようもないところでヒナタに気を使いたくないし、気を使わせたくもない。
だからあえて、お互いそこに触れない。
「これからもお互い頑張ろうね」
「うん」
リエが微笑むと、ヒナタも微笑んで頷いた。
昼食の後に担当上忍が来るので班ごとに集合とイルカに言われ、一度解散を命じられる。
お昼休みだ。