第32章 未来の為に
「気を遣ってるというか…俺はただ、リエの笑顔がまた見たいだけなんだけどね。俺はリエのことも、リエの笑顔も、好きだからね。もちろん、他の皆もそうだと思うよ」
昔の腐っていた自分だったら絶対に口に出来なかったことを笑顔で言ってのけて、カカシは自分は本当に変わったなと思った。
彼女の眩しいくらいの笑顔が、こんなにも恋しく感じるなんて。
ただリエに、サスケ以外の人間にも愛されていることをわかってもらいたかった。
愛する人達を失っても、まだ里の仲間達がいると
孤独ではないと、わかってもらいたかった。
でもきっと、今のリエはそれすら卑屈に捉えてしまうのだろう。
彼女の表情がそう物語っていた。
いつもの彼女なら、照れながらもとても嬉しそうに笑うのだろうに。
いくらこちらの本心を言っても、今の彼女の心には届かないのだろうか。
そう一度諦め、カカシは話を変えることにした。