第31章 暗闇
ヒナタはゆっくりと、リエを気遣いながら、キバに聞いた話をそのまま話す。
シカマルをリーダーに、下忍メンバーの小隊でサスケを追ったこと。
サスケと共にいた大蛇丸の配下と一人ずつ戦ったこと。
途中で、中忍試験で敵として戦った砂忍に助けられたことーーー。
キバの視点からの話だけだから、これが事の全てだというわけではない。
それでもリエは静かにヒナタの話を聞き終えると、小さくため息を吐いた。
「そっか……皆、サスケを必死で連れ戻そうとしてくれたんだね。それこそ、命をかけてまで。…皆に痛くて辛い思い、させせちゃったんだ……。ごめんね、ヒナタも心配したよね」
「え、ううん、わたしは……」
「ホント、なんでかな。サスケにはこんなに素敵ないい仲間達がいて、皆優しくて、サスケのこと思ってくれているのに、どうしてそれを大切に出来ないのかな……いつも、オレには関係ないってフリして……どうして皆を傷つけてまで復讐の道を選んじゃったのかなぁ…勝手だよね、本当に」
言葉を発する度にリエの肩と声が震え、俯いていたその目からポロポロと涙が零れてきた。
「でもねヒナタ。サスケは、本当はちゃんとわかってたよ。皆の気持ちも…私の気持ちも…。でも……サスケは私を選んではくれなかった……」
「リエちゃん…!」
ヒナタが彼女に駆け寄りその肩を抱く。
中忍試験の時よりもずっと細くなった身体に、ヒナタの胸がズキリと痛んだ。
「ヒナタ…私……サスケを止められなかった…。行かないでって…独りにしないでって…言ったのに……!」
自分の胸で泣き叫ぶリエの姿を見て、ヒナタの目からも涙が零れた。