第31章 暗闇
ヒナタが口篭っていると、リエが呟くかのようなか細い声で言った。
「…ナルトくんとキバくん、入院してるの?」
「え?う、うん……ネジ兄さんとチョウジくんも……あ、でも皆もう大丈夫だって聞いたから…安心して」
「…どうして…入院なんてしているの?皆揃って……」
「え……」
リエの問いに、ヒナタはすぐに答えることは出来なかった。
リエが、サスケが出て行ったということ以外何も知らないなんて、思っていなかったから。
余計なことを言ってしまったと焦る。
と同時に、里の仲間達がサスケを追いかけて行って酷い怪我を負って帰って来たと言えば、リエはどう思うだろうかと不安になった。
そもそも、傷心中のリエの前で、サスケの名前を出していいのかさえ、ヒナタにはわからなかった。
しかし困ったように目を泳がせるヒナタを見て、リエは全てを悟ったようだった。
「皆の入院の原因って、サスケなんだね?」
パッと顔を上げたヒナタに、リエは口角を少し上げて「ヒナタは嘘がつけないね」と言う。
「知っていることだけでいいから、教えて?サスケが……里を出てからのこと」
そう真っ直ぐに見つめられ、ヒナタも嫌とは言えなかった。