第31章 暗闇
『ねぇサスケ、一緒に暮らさない?』
大切な人達を失って、サスケを孤独から救いたいと思ったあの日から、サスケとずっと一緒に暮らしてきた我が家へと入る。
サスケと一番長く過ごした、彼との思い出が一番詰まった場所。
しかしもう、ここには誰も待っていてはくれない。
誰も帰っては来ない。
目の前には暗い廊下が続くだけだ。
サスケを独りにしたくないと思った。
それほどまでに、サスケは孤独を恐れていたから。
でも本当は、自分もサスケと同じ。
独りが、こんなにも……恐い。
サスケの存在にどれだけ救われていたか、実感する。
寝室に飾られた二人で撮った写真を手に取り、愛しの彼からのメッセージを指でなぞった。
そしてその隣に伏せられた写真立てをもう一度立て直す。
そこには、下忍になりたての頃の七班メンバーが並んでいた。
サスケに対抗心を燃やし、サスケを睨むナルト。
それを無視し面倒くさそうに顔を顰めるサスケ。
その間で嬉しそうに笑うサクラと自分。
後ろで宥めるようにサスケとナルトの頭に手を置き、困ったように笑うカカシ……
この頃は、毎日が本当に楽しかった。
写真立てを置くのと同じくして、カタンと玄関口で音がした。
足が勝手に駆けていた。
「やっ!やっぱ帰ってたんだ」
玄関先で右手を上げてにこやかに微笑むカカシの姿を見て、落胆する。
…何を、期待していたのだろうかと。