第31章 暗闇
ふらふらとした足取りのまま、気付けば、サスケとの思い出の地を巡っていた。
数年の間、何度も通ったうちはの領地。
もうひとつの心の拠り所。
ここにも、語りきれないほどの温かい思い出があった。
サスケがいて、イタチがいて、自分がいて
毎日のように笑っていた。
あの幸せが続いていたときには、こんなことになるなんて夢にも思っていなかった。
重い足をそのままに、いつもサスケが修行していた場所に来ていた。
彼が時折寂しそうに見つめていた湖。
ここで豪火球の術を、うちは代々の炎の術をフガクに教えてもらったと嬉しそうに言っていたのを思い出した。
懸命に火を吹くサスケを見て、自分もサスケみたいになりたいと思っていた。
前へ前へと進む彼に追いつきたいと、いつも思っていた。
「リエ、帰るぞ」
聞き慣れた優しいサスケの声がした気がして振り向くも、そこには誰もいなかった。
ピアスをつけた右耳がジンジンと痛んで、涙が出た。