第30章 涙雨
任務で帰ってきて早々、カカシは綱手から里抜けしたサスケのこと、サスケを連れ戻す任務に出たナルト達のことを聞き、彼らを追いかけることにした。
((あの馬鹿…あれほど言ったのに))
門を出て、カカシの持ちうる全ての忍犬を口寄せし、匂いを追ってサスケの居場所を探すよう指示を出す。
忍犬達が散ったところで、サクラがカカシを見つけ駆け寄って来た。
「カカシ先生…」
眉を下げ不安な面持ちを隠しきれないサクラを見て、カカシは言う。
「五代目から事情は聞いた。今から俺もサスケを追うところだ。…ところで、リエはどうしてるか知っているか?」
サスケのこともそうだが、カカシはリエのことも気がかりだった。
サスケが出て行くのを黙って見ているような子じゃない。
サスケが付いて来いと言えば一緒に里を抜けてもおかしくはない。
それほどまでに、リエはサスケのことを思っている。
大蛇丸もリエを、空風の力を欲しがっていた。
向こうからすれば、リエがサスケについて来れば万々歳だ。
「それが…………」
サクラから話を聞き、思わずため息が出た。
「…サクラ、心配するな。後は俺に任せろ」
心配そうに自分を見つめるサクラを見て、カカシは病院でナルトとサスケが争った姿を思い出した。
あれを見て、心配するなという方が無理か。
あの後サスケにあれだけ言って、リエもいるから大丈夫だと思っていた。
((まさかリエを置いていくとは…オレが甘かった…。サスケとナルト……今の状態だと本当に殺し合いかねない))
犬の遠吠えが響いた。
カカシの忍犬が、サスケの居場所を突き止めたのだ。
「…じゃ、行ってくる」
サクラににこりと笑いかけ、急いでその場へ向かう。
((間にあってくれよ!))