第29章 音の誘い
里の出入口付近で、サクラに出会った。
サスケが出ていってしまうのではないかと心配で、ずっとここにいたようだ。
「どうして…何も言ってくれないの?どうしていつも黙って……」
「なんでお前に話さなきゃならないんだ。余計なお世話だって言ってんだ。いちいちオレに構うな」
そうサスケに冷たくあしらわれ、サクラの瞳から涙が零れる。
「…私って…サスケくんに嫌われてばっかりだね……
覚えてる?下忍になって…初めてチームが決まった日…この場所で初めてサスケくんと二人きりになったとき…私を怒ったわね……」
「……覚えてないな」
嘘だった。
サスケにとってあのときのサクラの言葉は何より腹が立つものだった。
そう簡単に忘れようものではない。
内容はナルトについてだったが
「両親がいないと好き放題やれていい。ナルトは両親がいないからわがままなんだ」
と、サクラはそう言った。
両親を失った自分やリエがどれだけ悲しんだか、辛い思いをしたか知らないくせに、笑ってそういうことをいうサクラに苛立ったのも覚えている。
だからサスケはサクラにこう言ったのだ。
「お前、うざいよ」と。
「そうだよね…ずいぶん昔のことだもんね……
でも、あの日から始まったんだよ。サスケくんと私…リエとナルトとカカシ先生…五人で色んな任務をやって……苦しかったし大変だったけど…
でも、やっぱり何より…楽しかった」
彼女に言われて思い出す。
色々あったけれど、笑顔に溢れていた”仲間達”。
……楽しかった日々。