• テキストサイズ

青い果実【NARUTO】

第28章 すれ違う心



「アイツにとってサスケは仲間であると同時にライバル……常に対等な存在でありたい男ってことです。忍者学校の頃からずっと追いかけて…追っかけて来ましたからね」

呆然と立ち竦むリエの耳に、カカシの声が届いた。

誰に向けて話しているのかと目をやると、いつの間に来たのか、カカシの隣には自来也が立っていた。

「今のナルトは私やアナタじゃぁなく…誰からよりもただ…認めてもらいたいんですよ……サスケにね」

「…そうだのぅ…」

静かに話す二人は、深刻な表情をしていた。


ナルトは、昔の自分のようだとリエは思う。

ライバルという立場ではなかったが、リエもサスケと対等でありたかった。

サスケからただ守られている立場が嫌だった。

自信を持ってサスケの隣に並べる忍になりたかった。

認めてもらいたかった。

共に戦える”仲間”だと。


「一方でサスケはナルトの成長スピードを身近で感じて劣等感を感じてる。自分がまるで成長していないと思いこんでしまう程に、ナルトは強くなりましたから。
だから…サスケはナルトを認めたくない。認めてしまえば今の自分を否定してしまいかねない…。難しいもんです、ライバルってやつは」


カカシの言葉を聞いて、きゅっとリエは己の拳を握る。

きっと心のどこかでは、サスケはナルトを認めている。

だからサスケは、ナルトと戦いたいと言ったのだろう。


中忍試験が終わった後頃から感じていた、サスケの焦りや苛立ち。

自分が知らない間に、サスケの中に闇が増えていく。

サスケはナルトの強さを肌で感じて、何を思ったのだろう。


“ライバル”。


なぜか素直になれなくて、互いを気にして、高め合って。

羨ましいと思った。

とても素敵な関係だと、そう思ったのに。

少しのすれ違いがこんな争いになるなんて、悲しすぎる。
/ 354ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp