第28章 すれ違う心
「アイツにとってサスケは仲間であると同時にライバル……常に対等な存在でありたい男ってことです。忍者学校の頃からずっと追いかけて…追っかけて来ましたからね」
呆然と立ち竦むリエの耳に、カカシの声が届いた。
誰に向けて話しているのかと目をやると、いつの間に来たのか、カカシの隣には自来也が立っていた。
「今のナルトは私やアナタじゃぁなく…誰からよりもただ…認めてもらいたいんですよ……サスケにね」
「…そうだのぅ…」
静かに話す二人は、深刻な表情をしていた。
ナルトは、昔の自分のようだとリエは思う。
ライバルという立場ではなかったが、リエもサスケと対等でありたかった。
サスケからただ守られている立場が嫌だった。
自信を持ってサスケの隣に並べる忍になりたかった。
認めてもらいたかった。
共に戦える”仲間”だと。
「一方でサスケはナルトの成長スピードを身近で感じて劣等感を感じてる。自分がまるで成長していないと思いこんでしまう程に、ナルトは強くなりましたから。
だから…サスケはナルトを認めたくない。認めてしまえば今の自分を否定してしまいかねない…。難しいもんです、ライバルってやつは」
カカシの言葉を聞いて、きゅっとリエは己の拳を握る。
きっと心のどこかでは、サスケはナルトを認めている。
だからサスケは、ナルトと戦いたいと言ったのだろう。
中忍試験が終わった後頃から感じていた、サスケの焦りや苛立ち。
自分が知らない間に、サスケの中に闇が増えていく。
サスケはナルトの強さを肌で感じて、何を思ったのだろう。
“ライバル”。
なぜか素直になれなくて、互いを気にして、高め合って。
羨ましいと思った。
とても素敵な関係だと、そう思ったのに。
少しのすれ違いがこんな争いになるなんて、悲しすぎる。