第28章 すれ違う心
突如現れたカカシが、サスケとナルトの腕を掴んで左右に投げ飛ばしたのだ。
標的を無くした二人の術は、各々が投げ飛ばされてぶつかった二つの貯水タンクが受け止めた。
「病院の上で何やってんの?ケンカにしてはちょいやりすぎでしょーよ、キミ達」
未だ興奮冷めやらぬナルトとサスケを見て、カカシがため息を吐いた。
そして、自身の技を教えたサスケに向けて疑問を投げかける。
「ナルトを殺す気だったのか?サスケ。さっきの千鳥、同じ里の仲間に向ける大きさじゃなかったな。なんでこんな子供じみたマネを…」
しかしサスケはそんなカカシを無視し、反抗心からか無言で柵を飛び越えた。
サスケが屋上から飛び降り、ふと先程までいた場所を見上げると、壊れた貯水タンクが術の凄まじさを示すように突き破られていた。
それは、自分ではなくナルトの術が壊した方だった。
((な…何だあの穴は……どうなってやがる?!))
自分の術で開いた穴よりも大きなそれは、まるで力の差を見せつけられたようで、サスケは更に劣等感を抱く。
ぎっと奥歯を噛み締めると、サスケは姿を消した。
そんなサスケを追うことも出来ず、リエは呆然とサスケが去った方を見つめるしかなかった。
ナルトは悔しそうに俯き、サクラは泣きじゃくっている。
もう、チームワークのかけらもない。