• テキストサイズ

青い果実【NARUTO】

第28章 すれ違う心



「風牙お願い。私に修行をつけて」

以前リエが自身の封印を解いた、空風一族の領地跡。

誰もいないこの場所でそう言葉にすると、風が集まり、神獣である風牙が姿を見せる。

その金の眼はいつもより鋭く見えた。

【何をそんなに焦っておる】

風牙は早々一言、そう言った。

リエの考えなどお見通しだとでも言わんばかりに。

【風使いの力の修行は時間がかかると言ったであろう。それは汝自身、身を以てわかっているはずだ】

「わかってる…でも…」

【試験前の修行期間で、今の汝が出来る範囲のことは教えた。今、汝がどう足掻こうと限度というものがある。無理をすれば身を滅ぼすぞ。
……汝は我の想像以上によくやっておる。焦ったところで、何にもならぬぞ】

厳しい風牙が珍しく褒めてくれたのは素直に嬉しかった。

けれど、その言葉に甘えてはいられない。

「……わかってる。私が以前よりずっと強くなったってことくらい…ちゃんと、わかってるよ。
でも今のままじゃ…私は、何も出来ない…サスケを守れない……」


イタチと会って、サスケはきっと思ったはずだ。

“何も変わっていない”、と。

そんなはずはないのに。
サスケだって、自分の成長をわかっているはずなのに。

しかし、あれだけ派手にやられてしまい、力の差を見せつけられた。

自分は無力だと思ったに違いない。

あれだけイタチに対して憎しみを抱いているサスケだ。

もしまた大蛇丸が来て声をかければ、もしかしたらサスケは………



ただ怖かった。

サスケが離れていってしまいそうで。

……いなくなってしまいそうで。
/ 354ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp