第28章 すれ違う心
ナルトを探して里を走り回っていたときにサクラと約束した通り、事のあらましを説明する為、リエは彼女の家を訪ねた。
「リエ!」
玄関から出て来たサクラは慌ててリエに駆け寄って来た。
あれからずっと心配していたであろうことは、すぐにわかった。
「サクラちゃん…さっきは急いでて、ちゃんと話せなくてごめんね」
「ううん…でも、何があったの?あのときのサスケくん、すごくこわい顔してたけど…」
「うん……あのね……」
ナルトに危険が迫っていると聞いて焦っていたこと
追って行ったところで、敵に返り討ちにされたことなど
サスケとイタチの因縁のことは伏せて、簡単に話す。
「それで…サスケは今入院してるんだけど、意識が戻ってないの。かけられた術が何なのかもわからなくて……。ナルトくんが今、三忍の自来也様と一緒に、とても優秀な医療忍者を探してくれてるみたいなの。必ず連れて里に帰るって言ってた。だから、その人に診てもらえば、きっとサスケもすぐ目を覚ますと思う…」
話を黙って聞いていたサクラは驚愕の表情でリエを見つめた後、キッと表情を厳しくしてリエの手を取って歩き出した。
「サ、サクラちゃん?」
「サスケくんがそんな大変なときにリエが傍にいてあげなくてどうするの?早く行くわよ」
「……サクラちゃん」
サクラの気持ちは嬉しかった。
とても、有難かった。
けれど……
「私は、行けない」
その言葉に、サクラはまた驚愕の表情を浮かべた。
「どうして?!」
「……今サスケの傍にいたって、私に出来ることなんて何もないから」
「それはそうかもしれないけど……でも!」
「ごめんサクラちゃん……ごめんね……」
離されたサクラの手が、行き場をなくして宙をさ迷う。
背を向けて歩いていくリエの後ろ姿が、サクラにはいつもより小さく見えた。