第27章 最悪の再会
「とにかく、早く医療班のところへ。腕の骨に、肋骨の骨折。それに何やら瞳術で精神的にやられて、意識がない」
自来也が少し見ただけでもわかるほど、サスケは重症だった。
半目を開けたまま意識を失っているサスケが、痛々しくてたまらない。
どれだけ痛い思いをしたのだろう。
どれだけ辛く苦しい思いをしたのだろう。
「すまんのぉ…この子の気持ちを汲んでやったつもりだったが……やはりもっと早くに助けてやるべきだった」
「…………」
申し訳なさそうに声をかけてくれた自来也だったが、リエは返答に困って黙り込むことしか出来なかった。
『オレはこいつを殺す為に力をつけてきた!この日の為に…!!』
サスケのあの言葉が、憎悪に満ちた目が、頭から離れない。
確かに自来也なら、力尽くででもサスケを止めることは出来たはずだ。
けれど、途中で助けようものなら、邪魔しようものなら、サスケはまたそのことすら怨むだろう。
敵わないとわかっていても、それでも立ち向かわずにはいられないほどに
それだけ、彼のイタチに対する怒りと憎しみは強かった。
イタチが里を抜けてから、リエもサスケも、イタチの話をすることも、名を出すことすら、なくなった。
どちらからそうしたわけではない、お互いを気遣い、お互いがイタチに抱く間逆の気持ちに気付いているからこそだった。
けれど…
『一族の復興と、ある男を必ず……殺すことだ』
自己紹介のときに語った、サスケの夢。
名前こそ出さなかったものの、”忍者”になって初めて、サスケはリエの前でイタチへの恨みを、思いを口にした。
それは彼の、決意の現れだったのかもしれない。
あの事件後から生まれたサスケの中で渦巻く闇の存在も、サスケが抱く怒りも、悲しみも、理解しているつもりだった。
でももっと、リエが思っているよりもずっと、
彼は深い闇の中でもがいている。
今回のことで、それが痛いほどわかってしまった。