第27章 最悪の再会
意識のないサスケの手を握り、黙ってしまったリエに、自来也は問う。
「……ところで譲ちゃん、うちはイタチとはどういう関係かのぉ?」
普通は敵が迫れば、防備または反撃に入るが、イタチはそんな素振りすら見せなかった。
イタチなら一瞬で敵を吹き飛ばすことなど雑作もないことだろう。
しかも相手は弟と同じ年頃のくノ一だ。
しかし彼はリエの行動に微動だにすることもなく、彼女にその腕を掴ませた。
警戒する必要すらないと侮っていたのか。
それとも…
彼女が止めるのを自ら受け入れたのか。
それは考えすぎかもしれないと思ったが、実の弟にここまでしたイタチがする行動とは、自来也には思えなかった。
リエはサスケを見つめていた目を伏せ、小さな声で答えた。
「イタチは……私の、恩人です」
「恩人…?」
「昔…イタチが里抜けする前に…うちは家にお世話になっていたんです」
「……なるほどの」
自来也はそれ以上のことは聞かなかった。
心底、ホッとした。
イタチは確かに、許されないことをした。
それでも、父を亡くし絶望の淵にいたリエに光を与えてくれた。
温かい家族と居場所を与えてくれた。
イタチは今でもリエにとって、大切な人なのだ。
サスケがこんな目に合わされて本当にショックなのに。
それでも、彼を嫌いになんてなれない。
振り払うわけでもなく、優しく掴まれた温かい手は昔のままで。
去り際まで向けられた視線は鋭かったけれど、自分達を気に掛けていてくれたのではないかと都合のいいことを考えてしまう。
冷たく非情に振舞っていても、やはりイタチはあの優しいイタチのままなのだと思えてならない。
そう、あってほしい。
「あの、自来也様……サスケ、治りますよね?」
そう尋ねるリエの声は、震えていた。
身体の怪我だけならばまだしも、自来也でも知らない術をかけられて、あれだけの悲痛な叫び声を上げて。
意識がなくなるほどに、苦しんでいたサスケ。
このまま彼の目が覚めなかったらと思うと、眩暈がする。
「…わしはこれからナルトと共に、医療のスペシャリストを探しにいく。そいつならこいつも治せるだろう。だから、安心せい」
自来也の大きな掌で頭を優しくポンポンと叩かれると、涙がまた零れた。