第27章 最悪の再会
ポロポロと涙を零すリエに気を取られたのか、イタチに出来たその一瞬の隙に、自来也が口寄せをする。
口寄せされたのは、なんと大蝦蟇の食道。
その場にいた者は皆、肉の壁に包み込まれていた。
”蝦蟇口縛り”という術らしい。
敵が逃げようとすると時間と共に迫りくる肉の壁に敵は包み込まれ、やがて胃の腑にて消化されるという。
サスケの体が肉に吸い込まれるように保護される。
ゆっくりとサスケの首から手を離したイタチは、今度はリエを見下ろした。
冷たい、紅い瞳。
あの頃とは違う、鋭い視線。
しかし、久しぶりに交わしたそれは、昔の楽しかったあの日々を強く思い出させる。
お互いが黙ったまま見つめ合ったのはほんの数秒だったが、リエにはとても長く感じられた。
イタチは空いた手で自分を掴んでいたリエの震える手をそっと外し、背を向けるとそのまま仲間の男と共に駆け出し、その場から退却した。
今まで破られたことのないという、この蝦蟇口縛りを破って。
破られた壁には、三忍と呼ばれる自来也でも見たことのない黒い炎だけが残っていた。
彼らが去って、自来也も術を解く。
壁から崩れ落ちるサスケをリエが抱きとめた。
それと同じくして、壊された壁からガイが飛び込んできた。
自来也を敵と間違えて攻撃してしまい、平謝りしている。
この場にそぐわないコミカルなやり取りが、この重苦しい空気を少しだけ軽くしてくれたように思えた。